どこかで引っかけたのか、左腕に小さな擦り傷がある。
気にして見なければ分からないような傷なのに、
やたらと痛い。チクチクと気になる。
親指にささくれが出来た。これはけっこう痛い。
心臓の鼓動と連動してドクドクと痛みを感じる。
ある日のこと、歩道と車道の段差に躓き、
かなり派手に転んだ。両手に荷物を持っていたので、
うまく手をつけずに、バターーって感じで派手に倒れた。
そこに石か何かがあって、左足を思いきり擦りむいた。
膝から足首のところまでズズ――って感じで、足は血まみれ(><;)
見るからに痛そう。こ、これは重症だ……と見た人は思う。
私もそう思った。
でも、あれ？ そんなに痛くない。なんで？
家に帰って消毒をした。消毒液はまあしみるけど、それほどでもない。
その夜、お風呂にも入ったけど、しみない、痛くない。
親指のささくれの方がよっぽど痛い。なんで？
足の傷を見ながらふと思う。
心の傷も同じかもって。
小さな傷の方がチクチクと痛む、チクチクと気になる。
朝、挨拶したのに挨拶を返されなかったとか、仕事で伝言を伝えるのを忘れたとか、
別に大したことじゃなかった。でも心がチクチクと痛む。
他人が聞いたらどーでもいいような事で、心がずーっとチクチクと痛い。
ある日、仕事で（その頃の私は建築会社で営業の仕事をしていた）とんでもない
発注ミスをした。ど、どーしよう( ﾟДﾟ)大変なことになった。
どれくらいの損害になるのか、もう頭が真っ白。
でも、心はチクチクとはならなかった。チクチクなんてなってる場合じゃなかった。
これをこうして、あれがこうなって、そしたらこうなるはずだから、
なんて、一生懸命対処した。なんとかなった時はホッとした。
そのあと、自分はなんてダメなんだ……
なんて落ち込みはしなかった。
なるようになるって覚悟していたからなのか。
心も体も、小さな傷の方が気になるんだよね。
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